奥歯の抜歯を勧める理由。抜歯後の最適な治療方法とは
監修:歯科医師 金丸智士
ご自身の歯をなるべく多く残したいと思っていても、何らかの理由で抜歯が避けられない状況に直面してしまうこともあるでしょう。歯を失うことは、誰にとっても望ましくないことです。それでも歯科医師が抜歯を推奨する場合には、歴とした理由があります。今回は、抜歯が推奨されるケースと状況と、その後の治療について詳しくお伝えしていきます。
【目次】
1.奥歯の抜歯はなぜ必要なのか?
1-1虫歯の進行
1-2歯周病による損傷
1-3外傷による損傷
2.抜歯後は「抜けたまま放置しないこと」が大事
3.奥歯を抜いた後の治療方法はいくつかあります
4.周りの歯を守るために、まずはご相談ください
奥歯の抜歯はなぜ必要なのか?
抜歯が必要になる理由として主に以下の3つがあげられます。
虫歯の進行
虫歯が初期段階であれば抜歯をする必要がありません。詰め物などの治療で完治させることができます。しかし、虫歯が進行して、歯の大部分が侵食されてしまうと、詰め物などの治療を行うことが難しくなります。特に、歯の根元部分しか残っていないほど大きく欠けている場合は、歯の修復ができないため抜歯が必要です。
歯周病による損傷
多くの方が驚かれるかもしれませんが、歯を失う原因の第一位は歯周病です。歯周病は、虫歯と同じように初期段階なら抜歯の必要はありませんしかし、重症化すると歯を支えている骨が溶けるため、歯を残すことができなくなります。中には、自然と歯が抜け落ちてしまうことがあるくらい、恐ろしい病気なのです。その上、無症状で進行していくので、気がついた時には手遅れになっていることもあります。歯周病の重症化を防ぐためには、定期的に歯科検診を受けることと、歯周ポケットの清掃を行うことが重要です。
外傷による損傷
事故などの強い衝撃による外傷も、歯を失うことがあります。衝撃を受けた際にそのまあm抜けたり、歯が残っていてもわれていたりなど、様々なケースがあります。歯の根が割れてしまった場合は、一隙間から細菌感染を引き起こすリスクがあるため放置すると危険です。状態によっては早めの抜歯が執拗になります。
抜歯後は「抜けたまま放置しないこと」が大事
歯を失った部分をそのまま放置してしまうと、様々な問題が生じます。
- 隣の歯が傾く
- 噛み合わせ側の歯が伸びてくる
- 全体的に歯の位置が移動する
噛み合う歯がないと食物を十分に咀嚼できないため、胃腸に過度の負担がかかります。また、不適切な咬み合わせは、意外にも頭痛や肩こりなど、身体的な症状を引き起こす原因にもなります。
さらに、歯の本数が減ったことで、、残っている歯への過度の負担大きくなり、結果としてこれらの健康な歯を失うことにも繋がりかねません。そのため、歯を失った後は状態を放置せずのなるべく早く治療をするようにしましょう。
奥歯を抜いた後の治療方法はいくつかあります
歯を失った際には、以下の3つの治療方法で新たな歯を作ることになります。それぞれにメリットとデメリットが存在します。
ブリッジ
失った歯の両隣の歯を大きく削り、その歯繋げて人工の被せ物を作ります。
メリット
- 固定式であるため、日常生活において違和感が少ない
- セラミックなどの様々な材質から選択することができる
デメリット
- 人工歯を支えるために隣接する健康な歯を削る必要がある
- 支えとなる歯に大きな負担がかかる
- ブラッシングがしにくく、虫歯や歯周病のリスクが高まる
- 歯茎が下がった部分から空気が漏れ発音しにくくなることがある
入れ歯
取り外しができる人工歯です。残っている歯に金具をかけて支えます。
メリット
- 取り外しが可能で、清潔を保ちやすい。
- 広範囲の欠損にも対応可能で、ブリッジのように隣接する歯を削る必要がない
デメリット
- 入れ歯を支えるためには金具をかける必要があり、支えとなる歯への負担が大きい
- 噛む力が低下する、
- 違和感が強いことがある
インプラント
歯を失った部分に人工の根っこを埋め込んで土台を作り、被せ物を作成します。
メリット
- 天然の歯に近い見た目と機能を実現し、噛む力の約80%を回復することができる
- 隣接する歯を削る必要がなく、歯を失った部分だけで人工歯を作ることができる
- 全身の健康にも寄与する
デメリット
- 人工の根っこを埋める手術が必要であり、全身疾患がある場合は適用外となることがある
- 保険適用外のため高額な費用がかかる
上記の治療方法は、必ずしも全ての方に適用できるわけではありません。患者様のお口の中の状態や健康状態によっては、限られた治療方法しか行えない場合もあります。そのため、治療の前にカウンセリングを受け、歯科医師と相談の上で、あなたに合った治療方法を決定して行くようにしましょう。
周りの歯を守るために、まずはご相談ください
歯を失う原因は多岐にわたり、どの歯を失ってもその影響は無視できません。特に、奥歯は噛み合わせにおいても重要な役割を担っており、その欠損は他の歯への過度な負担や顎関節へのストレスを引き起こすことがあります。さらに、消化不良など全身の健康問題にも繋がりかねません。
そのため、できる限り歯を失わずにするためには、早めの対処が必要です。もしみ歯に違和感や痛みを覚えた場合は、それを軽視せず、早急に歯科医院を訪れるようにしましょう。どんな些細なお悩みでも構いません。歯科医師にお気軽にご相談ください。