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金歯(ゴールドクラウン)のデメリットとは?後悔しないための基礎知識

監修:歯科医師 金丸智士


金歯が1本ある口内

「虫歯治療で金歯を勧められたけれど、見た目が気になる」「金歯にデメリットはないの?」と不安に思っていませんか?

金歯は、実は歯科医師が自身の歯の治療で選ぶこともあるほど、優れた素材です。しかし、特有の弱点も存在するため、特徴をしっかりと理解したうえで選択することが大切です。

今回は、金歯のデメリットから寿命、他の素材との違いまで、専門的根拠に基づきわかりやすく解説します。

【目次】
1.金歯(ゴールドクラウン)とは?その特徴と背景
2.金歯を選択する際の5つの大きなデメリット
 2-1 審美性の問題(見た目が目立つ)
 2-2 治療費が高額(自由診療)
 2-3 金属アレルギーのリスクがゼロではない
 2-4 熱伝導率が高く「しみる」ことがある
 2-5 歯科医院によって精度の差が出る
3.金歯と他の素材(銀歯・セラミック)の比較
4.デメリットを上回る?金歯の驚くべきメリット
 4-1 歯の硬さに近く、咬み合わせの歯に優しい
 4-2 適合性が高く、二次カリエスを防ぐ
 4-3 金属の劣化(錆び)がほとんどない
5.金歯の寿命とメンテナンスについて
6.後悔しないための選び方:金歯が向いている人・いない人
 6-1 金歯が向いている人
 6-2 金歯が向いていない人
7.機能面を追求するなら金歯は最良の選択

金歯(ゴールドクラウン)とは?その特徴と背景

一般的に「金歯」と呼ばれるものは、「金合金(ゴールド)」「白金加金(PGA)」という貴金属を主成分とした素材を指します。

長く歯科治療に用いられてきた歴史があり、現代においても「機能性」の面では非常に高く評価されています。

しかし、保険適用外のため、費用が高額になることが多いです。

○保険適用内の銀歯(金パラジウム合金):金が12%含まれていますが、主成分は銀やパラジウムです。

○金歯(高カラット金合金):金の含有量が50%〜70%以上と高く、白金(プラチナ)などが配合されることもあります。

金歯を選択する際の5つの大きなデメリット

金歯には多くのメリットがある反面、一般の患者さんが「失敗した」と感じやすいデメリットがいくつか存在します。

審美性の問題(見た目が目立つ)

最大のデメリットは、やはり見た目です。

  • 金属特有の色味:口を開けた時に金色が目立つため、特に前歯に近い部位や、笑った時に見える部位では審美性を損なうと感じる人が多いです。
  • 一昔前の治療のイメージ:価値観は人それぞれですが、現代の日本では「白く自然な歯」を求める傾向が強く、金歯に対して古い印象を持つ方も少なくありません。

治療費が高額(自由診療)

金歯は、基本的には公的医療保険が適用されない「自由診療」です。

近年、金の国際価格が高騰しているため、それに伴い歯科医院での提供価格も上昇傾向にあります。

歯科医院によりますが、1本あたり8万円〜15万円程度の費用がかかることが一般的です。

保険診療の銀歯と比較すると、初期費用は大幅に高くなります。

金属アレルギーのリスクがゼロではない

金は非常に安定した金属であり、銀歯(金銀パラジウム合金)に比べると溶け出しにくいため、金属アレルギーを起こしにくい素材です。

しかし、厚生労働省の専門サイト(e-ヘルスネット)等でも解説されている通り、歯科金属が原因で起こるアレルギー反応(接触皮膚炎など)には注意が必要です。

強度を保つために銅や白金などが混ざっているため、それらの成分に対してアレルギー反応が出る可能性があります。金は化学的に安定していますが、加工性を高めるための副成分(銅など)が含まれるため、100%の安全を保証するものではありません。

アレルギーが心配な方は、事前に皮膚科でのパッチテストを受けることが推奨されます。

熱伝導率が高く「しみる」ことがある

金を含む金属は、熱を伝えやすい性質があります(熱伝導率が高い)。

治療直後は、熱い飲み物や冷たい食べ物の刺激が歯の神経に伝わりやすく、一時的に「しみる」ような感覚(知覚過敏に近い症状)が出ることがあります。

通常は、時間が経つにつれて治まっていきます。

歯科医院によって精度の差が出る

金歯は、「鋳造(ちゅうぞう)」という溶かした金属を型に流し込む工程を経て作られます。

金は非常に加工しやすい素材です。

しかし、その作り方から、最終的な適合性(歯とのフィット感)は、歯科医師の型取りの精度や、歯科技工士の技術力に左右されます。

金歯と他の素材(銀歯・セラミック)の比較

納得のいく選択をするために、金歯と他の代表的な素材との違いを比較表で確認しましょう。


比較項目 金歯(ゴールド) 銀歯(パラジウム) セラミック
見た目 目立つ(金色) 目立つ(銀色) 非常に自然(白色)
耐久性 非常に高い 高い(変形しやすい) 高い(割れるリスクあり)
歯との適合性 非常に良い 普通 良い
虫歯再発リスク 低い 高い 低い
金属アレルギー 低い 高め なし
費用 高額(自由診療) 安価(保険診療) 高額(自由診療)

機能性と歯の寿命を最優先するなら金歯、見た目の美しさと金属アレルギー対策を優先するならセラミック、費用負担を最小限に抑えるなら銀歯という選択になります。

デメリットを上回る?金歯の驚くべきメリット

デメリットを理解した上で、なぜ多くの歯科医師が金歯を推奨するのでしょうか。

それは、先述した通り、金歯は「歯を長持ちさせる」という点において、他の素材より圧倒的に優れているからです。

歯の硬さに近く、咬み合わせの歯に優しい

金合金の最大の特徴は、「適度な柔らかさと展延性(伸びる性質)」です。

人間の歯は、食事のたびに摩耗します。

金歯は自分の歯に近い硬さで摩耗してくれるため、咬み合わせの相手となる歯(対合歯)を傷つけたり、過剰に削ったりすることがありません。

適合性が高く、二次カリエスを防ぐ

「二次カリエス」とは、治療した詰め物の隙間から再び虫歯になることです。

金は非常に精密に加工でき、さらに、咬んでいるうちに自分の歯の形に馴染んでいく(これを「馴染み」や「バーニッシュ」と呼びます)性質があります。

この性質によって隙間ができにくく、長期的に見て最も虫歯になりにくい素材のひとつとされています。

金属の劣化(錆び)がほとんどない

銀歯は口の中で酸化し、錆びたり黒ずんだりすることで、歯茎の黒ずみ(メタルタトゥー)の原因になります。

一方、金は口内の過酷な環境(酸性・アルカリ性・温度変化)でも腐食しにくく、長期間安定した状態を保持することができます。

金歯の寿命とメンテナンスについて

一般的に、金歯の寿命は10年〜20年以上と言われています。

厚生労働省の歯科疾患実態調査等の背景を鑑みても、適切にケアされた貴金属修復物の予後は非常に良好です。

しかし、以下の要因で寿命が短くなることがあります。

  • 歯周病の進行:金歯自体は悪くなりませんが、土台となる歯や歯茎が歯周病になると、抜歯が必要になるケースがあります。
  • 定期検診の不足:咬み合わせの変化により、金歯に過度な負担がかかると、周囲の歯に影響が出ることがあります。

後悔しないための選び方:金歯が向いている人・いない人

金歯が向いている人

  • 奥歯の治療をする人:見えにくい部位であれば、見た目よりも「長持ち」を優先する価値があります。
  • 歯ぎしりや食いしばりをしている人:セラミックは強い衝撃で割れることがありますが、金歯は割れる心配がほぼありません。
  • 自分の歯をできるだけ長く残したい人:適合性の良さは、将来的な再治療のリスクを最小限に抑えます。

金歯が向いていない人

審美性を最優先する人:見える位置の治療や、笑った時に白く綺麗な歯を見せたい場合は、ジルコニアやオールセラミックなどの素材が適しています。
徹底的に金属を排除したい人:メタルフリーでの治療を希望される場合は、セラミック一択です。

機能面を追求するなら金歯は最良の選択

金歯の最大のデメリットは「見た目」「費用」です。

しかし、それ以上に「歯との適合性」「対合歯への優しさ」という、健康寿命を延ばすための強力なメリットを持っています。

見た目を重視するならセラミック、コストを抑えるなら銀歯、そして、歯を最も長持ちさせたいと考えるなら金歯が有力な選択肢となります。

歯科治療において「100%完璧な素材」は存在しません。

それぞれの素材の特性を理解し、ご自身の優先順位(見た目、機能、予算)に合わせて、担当医とじっくり相談することをお勧めします。

当院では、無料カウンセリングを受け付けております。

もし、被せ物の素材を悩まれているようなら、お気軽にご相談ください。

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