コラム

  1. かなまる歯科クリニック
  2. コラム
  3. 歯石取りが痛いのはなぜ?痛みを軽減する方法について

歯石取りが痛いのはなぜ?痛みを軽減する方法について

監修:歯科医師 金丸智士


斜めに並べられた歯科用器具

歯石取りはどうして痛いの?


歯石を取って、お口の中をキレイにしたいけど、痛みが出そうで怖い。。。特に痛みに敏感な方は、歯科治療を受ける時に心配になりますよね。
ただし、基本的に歯石取りは痛みが出る治療ではありません。痛みがでる場合は、口の中で何かしらの問題が起きている可能性があります。
今回は、「歯石取りを行う理由」、「痛みがでる原因」、「痛みを軽減する対処法」などについてお伝えします。

【目次】
1.歯石取りにともなう痛みで悩まれている方へ
 1-1なぜ歯石を取るの?治療の目的とは
 1-2歯石取りで「痛み・出血」が起こりやすい原因について
2.歯石取り後も痛みを感じる時の対処法
 2-1歯石予防のために!セルフケアのポイントについて
3.治療が苦痛に感じてしまう時には
 3-1治療中断をしてしまうリスクについて
4.健康な歯茎をとり戻すために、少しずつ始めてみませんか?

歯石取りにともなう痛みで悩まれている方へ

歯石取りなどを行うクリーニングで痛みを感じる方は多いです。痛みやしみる症状を感じてしまうことで、治療に通うのが苦痛になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?歯石取りなどの治療では、痛みを感じにくくする方法もあります。

なぜ歯石を取るの?治療の目的とは


歯石を取っている口元のイラスト

実は、歯石自体は病原性があるものではありません。しかし、歯石表面はザラザラで、内部は軽石の様にスカスカであるため、プラーク(歯垢)が付着・蓄積しやすく、細菌の住処となりやすいです。

歯石取り治療の目的は、この細菌の住処となりやすい歯石を除去し、歯の表面や根っこをツルツルの状態にして、プラークや細菌が付着しにくくすることです。実際に、歯石取りを行うと、お口の中の細菌は激減します。ただし、お口の環境は正しくケアしていただかなければ、数ヶ月で元に戻ってしまうので、定期的なクリーニングとご自身のケアが非常に重要になります。

歯石取りで「痛み・出血」が起こりやすい原因について

歯石取りは、基本的に痛みは生じません。しかし、歯石の蓄積状態や歯茎の状態によっては痛みを感じてしまうこともあります。痛みを感じやすい主な原因を3つお伝えします。

①歯茎の炎症

歯石は、細菌の住処となりやすいです。そのため、歯石が付着していると歯茎は細菌感染を起こし炎症を引き起こしやすくなります。軽い炎症なら痛みを感じにくいですが、歯茎から出血が見られる場合などは炎症が強く、痛みを感じやすくなります。痛みが強い場合は、ブラッシングなど適切なケアを行い、最初に歯茎の炎症を落ち着かせてから治療を行ったり、必要な場合は麻酔を使用して治療を行います。

②歯石の蓄積量

歯石は歯ブラシでは取れません。そのため、放っておくと少しずつ蓄積し、硬くなります。硬くなった歯石は、取り除くのに強い力が必要になります。その刺激で痛みを感じやすくなります。歯石取りを定期的に受けていただくと、歯石が蓄積しにくく、硬くなりすぎる前に除去することができるので、痛みも感じにくくなります。

③知覚過敏

歯と歯茎の間は知覚過敏になりやすいです。知覚過敏とは、冷たい物や歯ブラシなどが歯に触れると、しみる症状が生じることです。特に、歯茎が下がっている場合に起こりやすいです。歯石の量が少なければ、知覚過敏用の薬を塗布してから治療を行ったり、治療中に水を使用する場合はお湯に換えて治療を進めることで痛みを軽減させる方法もあります。歯石の量が多かったり、痛みが強い場合は、麻酔を行ってから施術することもできます。

歯石取り後も痛みを感じる時の対処法

歯石取りを行った後に痛みやしみる症状が続くことがあります。
特に、「歯石の付着量が多く、歯茎の炎症が強い方」に症状が出やすいです。


歯石がついている歯の断面図

歯石の付着量が多いと、歯と歯茎の間の部分を覆うように歯石が付着することがあります。歯が歯石で覆われていると外部からの刺激が歯に伝わりにくくなります。このような状態で、歯石取りを行うと、それまで伝わりにくくなっていた刺激が直接歯に伝わるようになり、しみるような症状が生じやすくなります。数日で症状が落ち着いてくることがほとんどですが、長く続く場合は、知覚過敏用の歯磨き粉などを使用していただくと良いです。

また、歯石が蓄積している方は、長い間歯茎の炎症が繰り返し起こっている可能性が高いです。炎症を繰り返している方は、治療完了後に、歯茎が下がりやすくなります。歯茎が下がると歯の根っこの部分が出てきます。歯の根の部分は、外部の刺激が伝わりやすく、冷たい物を食べたり飲んだりすると、しみる症状が出やすくなります。歯茎を下がりにくくするためには、早めの治療と正しいケアを継続して行い、歯茎の炎症を繰り返さないことが重要になります。

歯石の付着量の多さは歯茎の炎症を強めてしまう原因にもなります。歯茎の炎症が強いと治療後しばらくは痛みが生じやすいです。治療により炎症の原因である歯石を取り、その後もブラッシングなどで正しくケアを行うと歯茎の炎症が落ち着いてきます。そうすると痛みも感じにくくなります。

歯石予防のために!セルフケアのポイントについて

歯石の原因になるものは主に3つ、「唾液」「歯垢(プラーク)」「血液」です。お家でのケアは、この3つに気をつけてケアしていただくと、歯石予防に繋がります。

①唾液

唾液は、初期虫歯であれば虫歯をもとの状態に戻したり(再石灰化)、唾液の流れによってお口の中の汚れを蓄積しにくいようにしたりする(自浄作用)など、お口の中で重要な役割を担っています。しかし、唾液が分泌される部分に歯垢が溜まっていると歯石ができやすくなります。そのため、唾液が分泌される唾液腺付近は、歯垢が溜まらないように、ブラッシングを念入りに行いましょう。唾液が多く分泌される腺は、上の歯の一番奥と奥から2番目の歯(上顎の第一大臼歯~第二大臼歯)の頬側付近と、下の前歯の裏側付近(厳密にいうと舌の裏側)に存在します。特に歯と歯茎の境目に付着しやすいので、歯の生え際までしっかりと磨くようにしましょう(歯茎を一緒に磨いてしまうと歯茎が傷ついたり、下がったりする原因になりやすいので気をつけましょう)。

②歯垢(プラーク)

歯石を予防するために一番重要なのは、歯垢をできるだけ除去することです。歯垢とは、食べかすとは違い、白色~黄色っぽい色をして歯に付着しているものです。歯を爪楊枝などでこすると簡単についてきます。歯垢を放置したままにすると、歯石ができやすくなるだけでなく、虫歯や歯周病にもなりやすくなります。
歯垢が特に溜まりやすい所は、「奥歯と奥歯が咬み合う溝の部分」・「歯と歯の間」・「歯と歯茎の間」です。
ブラッシングする際のポイントは、歯2本分くらいの間隔で小刻みに1箇所10回くらい磨くと細かい部分まで汚れが落ちやすいです。さらに、お口の状態に合わせてタフトブラシ、フロス(糸ようじ)、歯間ブラシなどを一緒に使用していただくとより効果的に歯垢を除去することができるのでおすすめです。

③血液

健康な状態であれば、歯茎が多少傷ついても出血しにくいです。しかし、歯茎に炎症があると歯磨きしただけで出血することがあります。歯の見える部分に付着している歯石は唾液成分が元になっていますが、歯と歯茎の溝(歯周ポケット)に隠れて付着している歯石は血液成分が元になっているため黒っぽく固い歯石となります。ご自身では気づきにくく、放置してしまうと歯周ポケット内部で蓄積し、歯を支えている骨が吸収してしまう原因にもなります。
このようになることを防ぐには、炎症の原因となる歯垢(プラーク)を溜めないようにし、歯茎の炎症が起こりにくいお口の中の環境を整えることが重要になります。歯磨きをする際に出血した場合は、炎症がある部分にしっかり歯ブラシがあたっている証拠でもあります。痛くて続けられそうになければ、柔らかめの歯ブラシに交換して、毎日少しずつでもいいので、磨き続けると2週間~1ヶ月くらいで炎症が落ち着き出血も改善しやすいです。1ヶ月以上経っても、炎症や出血が続く場合は歯科医院で診てもらいましょう。

治療が苦痛に感じてしまう時には

せっかく治療を始めても、治療中や治療後に痛みを感じてしまうと、治療が辛くなってしまうこともありますよね。そのような場合は、担当の歯科衛生士に相談してみましょう。痛みが強い場合は、患者さんと相談の上、以下のように対応させていただくこともあります。

○炎症が強く痛みがでやすい場合は、積極的な治療を控えます。かわりに柔らかめの歯ブラシで優しく磨くようにして、歯茎の炎症をある程度落ち着かせます。その後、治療を行うと痛みが軽減しやすいです。

○治療前に麻酔を行い、痛みを感じないようにした上で治療を行うこともできます。

○治療後も痛みが続く可能性がある場合は、痛み止めを処方して様子をみさせていただくこともあります。

治療中断をしてしまうリスクについて

治療を中断してしまうと、再度歯石が付着し炎症を繰り返してしまい、歯周病を進行させてしまいます。歯周病の進行は、歯を失ってしまう原因にもなります。
まずは、歯石をキレイに除去し、正しい歯磨きのやり方を身につけていただくと、炎症を繰り返しにくくなり、歯茎を健康に保ちやすくなります。
歯周病治療は回数が多くかかる場合もありますが、無理に急いで治療を進める必要はありません。まずは歯科衛生士と相談して、慣れるまではご自身が治療に通えるペースで進めましょう。治療と治療の間があく場合は、自宅でのケアに少し力を入れてみましょう。

健康な歯茎をとり戻すために、少しずつ始めてみませんか?

歯石取りも大切ですが、特に大切なのは日々のケアになります。毎日の歯磨きで歯垢(プラーク)を除去し、お口の中をキレイに保つことができれば、歯石もつきにくくなり歯周病のリスクも減らすことができます。治療を行う際には、ぜひ正しい歯磨きの仕方も教えてもらいましょう。また、定期的なクリーニングを受けることで再発を防ぐことも大切です。何か不安なことがあれば、いつでもご相談ください。

ネット予約はこちら

電話で予約する