歯ぎしり対策のマウスピースの効果と選び方!種類や費用も解説
監修:歯科医師 金丸智士
毎朝起きた時に「顎のだるさ」を感じたことはありませんか?それは、寝ている間の激しい「歯ぎしり」が原因かもしれません。
無意識のうちに強い力がかかる歯ぎしりは、放置すると歯が欠けたり頭痛を引き起こしたりするリスクがあります。そこでお勧めなのが「マウスピース(ナイトガード)」です。
このコラムでは、マウスピースの効果や種類、治療の費用までわかりやすく解説します。
1.歯ぎしりが体に与える5つの悪影響
1-1 ①歯がすり減る・欠ける・割れる
1-2 ②知覚過敏を引き起こす
1-3 ③歯周病が急速に悪化する
1-4 ④顎関節症(顎の痛み・音が鳴る)の原因になる
1-5 ⑤肩こりや頭痛など全身の不調に繋がる
2.歯ぎしり用マウスピース(ナイトガード)の3大効果
2-1 ①歯や顎の骨にかかる負担を分散・軽減する
2-2 ②歯のすり減り(摩耗)を防止する
2-3 ③筋肉の緊張を和らげて睡眠の質を上げる
3.どっちを選ぶ?市販品と歯科医院で作るマウスピースの違い
3-1 市販のマウスピース:手軽だがリスクもある
3-2 歯科医院のマウスピース:安全性が高く効果的
4.歯科医院で作るマウスピースの種類と費用の目安
4-1 ①保険診療で作るハードタイプ(硬質レジン製)
4-2 ②保険診療で作るソフトタイプ(シリコン・ゴム製)
4-3 ③自費診療で作る特殊なマウスピース
5.長持ちさせるために!マウスピースの正しいお手入れ方法
5-1 ①使用後は水洗いをする(お湯はNG)
5-2 ②歯磨き粉は使わずに優しく磨く
5-3 ③定期的に専用の洗浄剤を使う
5-4 ④乾燥させて専用ケースに保管する
6.マウスピースに関するよくある質問(FAQ)
7.大切な歯を守るためにまずは歯科医院へ
歯ぎしりが体に与える5つの悪影響
寝ている間の歯ぎしりは、食事をする時の数倍以上の力が歯にかかると言われています。
強く擦れ合うギシギシという音が周囲の人へも聞こえることがあるほどです。
しかし、睡眠中は無意識下のため、歯ぎしりをしていることになかなか気づけず、結果的に放置することになりがちです。
ここでは、歯ぎしりを放置することで起こる具体的なトラブルを5つ紹介します。
①歯がすり減る・欠ける・割れる
歯の表面を覆う硬いエナメル質が、毎晩の強い摩擦によってすり減ったり欠けたりします。
ひどい場合には、歯が真っ二つに割れてしまい、抜歯を余儀なくされるケースもあります。
②知覚過敏を引き起こす
歯が削れたり、歯の根元に強い力がかかって亀裂が入ったりすると、外部の刺激が歯の内側に伝わりやすくなり、冷たいものや熱いものに敏感になる「知覚過敏」の症状が出やすくなります。
③歯周病が急速に悪化する
歯周病菌による炎症がある状態で歯ぎしりの強い力が加わると、歯を支える骨(歯槽骨)の破壊が驚くほどのスピードで進んでしまいます。
④顎関節症(顎の痛み・音が鳴る)の原因になる
顎の関節や周りの筋肉に過度な負担がかかり続けるため、口が大きく開かなくなったり、顎を動かすと「カクカク」と音が鳴ったりする顎関節症を引き起こします。
⑤肩こりや頭痛など全身の不調に繋がる
顎の筋肉は頭や首、肩の筋肉と繋がっています。そのため、夜間に顎の筋肉が緊張し続けると、慢性的な肩こりや偏頭痛、睡眠不足の原因になります。
歯ぎしり用マウスピース(ナイトガード)の3大効果
歯ぎしりそのものを完全に止める特効薬は、現在の医療では見つかっていません。
そのため、歯科医院では「マウスピース(ナイトガード)」を使った対症療法が一般的です。
上の歯にマウスピースを装着して眠ることで、どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
①歯や顎の骨にかかる負担を分散・軽減する
マウスピースのクッション効果により、上下の歯が直接ぶつかり合うのを防ぎます。
これにより、歯にかかる強烈な圧力を分散させ、歯の破折や顎の関節へのダメージを和らげます。
②歯のすり減り(摩耗)を防止する
歯と歯が直接こすれ合わないため、大切な天然歯が削れるのを防ぐことができます。
身代わりとなってマウスピースが削れてくれるので、歯の寿命を延ばすことにも繋がります。
③筋肉の緊張を和らげて睡眠の質を上げる
咬み合わせの高さがマウスピースによって適正にコントロールされることで、顎の周りにある咀嚼筋(そしゃくきん)の過度な緊張がほぐれ、リラックスして眠れるようになります。
どっちを選ぶ?市販品と歯科医院で作るマウスピースの違い
マウスピースは、薬局などで市販品を購入するか、歯科医院で型取りをしてオーダーメイド品を作るか、どちらかの方法で手に入れることになります。
それぞれの特徴やメリット・デメリットを比較してみましょう。
市販のマウスピース:手軽だがリスクもある
お湯で温めて柔らかくして自分の歯型に合わせるタイプなどが、数千円で販売されています。
安価で手軽に試せるのがメリットですが、ご自身でお口にぴったり合わせることは困難で、精密な咬み合わせの調整ができないため、逆に顎を痛めたり、歯並びが動いてしまったりするリスクがあります。
厚生労働省などの公的な情報でも、自己判断での長期使用には注意が促されています。
歯科医院のマウスピース:安全性が高く効果的
歯科医師が患者さんの歯並びや咬み合わせを精密に検査した上で作製します。
違和感が少なく、寝ている間に外れにくいため、狙った効果を維持しやすいです。
また、定期的に咬み合わせの調整(メンテナンス)が受けられ、安全かつ確実に歯を守ることができます。
費用や特徴について、次項でもう少し詳しくお話ししていきます。
歯科医院で作るマウスピースの種類と費用の目安
歯科医院で作るマウスピースには、主に「健康保険が適用されるもの」と「自費診療になるもの」があります。また、素材の硬さにも違いがあります。
一般的に広く使われている種類と、気になる費用について解説します。
①保険診療で作るハードタイプ(硬質レジン製)
最も一般的な、硬いプラスチック製のマウスピースです。
- 特徴:非常に頑丈で、強い歯ぎしりがあっても削れにくい。咬み合わせの微調整がしやすい。
- 費用の目安:3割負担の場合、約3,000円〜5,000円(型取りや検査費用含む)
②保険診療で作るソフトタイプ(シリコン・ゴム製)
柔らかい素材で作られたマウスピースです。
- 特徴:装着時の違和感が少なく、初めての人でも慣れやすい。ただし、強い歯ぎしりがあると破れやすく、咬み合わせの調整が難しい。
- 費用の目安:3割負担の場合、約3,000円〜5,000円
③自費診療で作る特殊なマウスピース
より違和感を少なくしたい場合や、耐久性を極限まで高めたい場合に選択されます。
- 特徴:生体親和性の高い特殊素材や、最新の3Dプリンター(CAD/CAM技術)を用いた超精密なマウスピースなどがあります。
- 費用の目安:全額自己負担となり、約20,000円〜50,000円(医院によって異なる)
長持ちさせるために!マウスピースの正しいお手入れ方法
マウスピースは毎日お口の中に入れるものです。不衛生にしていると、細菌が繁殖して虫歯や口臭の原因になってしまいます。
正しいお手入れのポイントをしっかり押さえておきましょう。
①使用後は水洗いをする(お湯はNG)
朝起きたら、外してすぐに水で洗い流します。熱いお湯を使うとマウスピースが変形してしまうため、必ず「水」または「ぬるま湯」を使いましょう。
②歯磨き粉は使わずに優しく磨く
汚れが気になる時は、指や柔らかい歯ブラシで洗います。
ただし、歯磨き粉は使わないようにしてください。歯磨き粉には研磨剤が含まれていることが多く、マウスピースの表面に細かな傷をつけてしまうからです。
傷には細菌が繁殖しやすく、虫歯や歯周病などの原因となるため注意が必要です。
③定期的に専用の洗浄剤を使う
水洗いだけでは落ちない目に見えない細菌や臭いを除去するために、週に数回、入れ歯用やマウスピース専用の酵素入り洗浄剤につけ置きすることをお勧めします。
④乾燥させて専用ケースに保管する
濡れたまま放置すると雑菌が繁殖します。洗った後は清潔なタオルの上でしっかり乾燥させ、ホコリがつかないよう専用のケースに入れて保管してください。
ペットが咬んで壊してしまったり、落として誤って踏んでしまったりするトラブルも多いため、置き場所にも注意しましょう。
マウスピースに関するよくある質問(FAQ)
初めてマウスピースを使う時は、誰しも不安や疑問を抱くものです。
患者さんからよくある質問をご紹介します。
Q.寝ている間に違和感で外してしまいますが大丈夫ですか?
A.最初の1〜2週間は外しても問題ありません。
お口の中に異物が入るため、脳が拒絶反応を起こして無意識に外してしまうのは珍しいことではありません。少しずつ装着時間を延ばし、体が慣れるのを待ちましょう。
どうしても痛む場合は、歯科医院で高さを削ってもらうなどの調整をすることをお勧めします。
Q.マウスピースの寿命はどれくらいですか?
A.個人差がありますが、一般的には約1〜2年です。
歯ぎしりの強さによって、マウスピースが削れたり穴が空いたりするスピードは異なります。半年に一度は歯科医院でチェックを受け、穴が空いていれば作り直しを検討しましょう。
Q.マウスピースで歯ぎしり自体は治りますか?
A.残念ながら、歯ぎしりの根本的な原因(ストレスなど)を治すことはできません。
マウスピースはあくまで「歯や顎を守るための防具」です。根本的な改善には、ストレスの発散、睡眠環境の見直し、日中に歯を接触させない意識(習慣の改善)などを並行して行う必要があります。
大切な歯を守るためにまずは歯科医院へ
歯ぎしりは自覚症状がないことも多く、家族に指摘されて初めて気づくケースも少なくありません。
もし「朝起きた時に顎が疲れている」と感じているなら、まずは歯科医院を受診してみてください。
歯ぎしりが原因の場合は、マウスピースの使用によって改善できる可能性があります。
より確実に、高い効果を求めるなら、歯科医院で作製するオーダーメイドのマウスピースがお勧めです。
当院では無料カウンセリングも受け付けております。まずはお気軽にご相談ください。