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【歯科医師監修】虫歯の詰め物が取れたら?放置の危険性と応急処置

掌の上に置いてある取れてしまった歯の詰め物

「食事をしていたら急にガリッと音がして、昔治療した虫歯の詰め物が取れてしまった…」
このような経験をして、焦ったことはありませんか?
詰め物が取れると歯の内部がむき出しの状態になるため、痛みなどの症状がなくても早めの対処が必要です。
このコラムでは、詰め物が取れた際の正しい応急処置ややってはいけないNG行動、放置するリスクについて詳しく解説します。

【目次】
1、なぜ虫歯の詰め物は取れてしまうのか?主な3つの原因
 1-1、①詰め物の隙間にできた「二次虫歯(二次カリエス)」
 1-2、②経年劣化による接着用セメントの寿命
 1-3、③歯ぎしりや食いしばりによる過度な負荷
2、虫歯の詰め物が取れたときにすぐやるべき正しい応急処置
 2-1、①取れた詰め物をきれいに洗って保管する
 2-2、②すぐに歯科医院へ連絡して予約を取る
 2-3、③食事の際は取れた側と反対の歯で咬む
3、絶対にやってはいけない!詰め物が取れたときのNG行動
 3-1、①接着剤などを使って自分でくっつける
 3-2、②取れた部分を指や爪楊枝で過度に触る
 3-3、③痛みが無いからとそのまま放置する
4、詰め物が取れた状態を放置するとどうなる?4つのリスク
 4-1、①虫歯が進行して神経まで達する
 4-2、②咬み合わせが変わって周りの歯が動く
 4-3、③歯自体が割れて抜歯になる可能性がある
 4-4、④口臭の原因や周囲の歯肉の炎症を引き起こす
5、歯科医院で行われる主な治療内容と費用の目安
 5-1、詰め物をそのまま付け直せる場合
 5-2、新しく詰め物を作り直す場合
6、詰め物が取れたら触らず、すぐ歯科医院へ!

なぜ虫歯の詰め物は取れてしまうのか?主な3つの原因

詰め物が取れた時、多くの方は「治療の不備」を思い浮かべがちです。しかし、実際は、お口の中の環境の変化や日々の生活習慣など、様々な原因が考えられます。

①詰め物の隙間にできた「二次虫歯(二次カリエス)」

詰め物が取れる原因として最も多いのが、過去に治療した部分に再び虫歯ができる「二次虫歯(二次カリエス)」です。

詰め物と歯を接着する際に使うセメントは、経年劣化によって目に見えないレベルで少しずつ溶け出すことがあります。セメントが溶け出してできたそのわずかな隙間から虫歯菌が侵入し、詰め物の下で虫歯が進行すると、歯が溶けて詰め物を支えられなくなり、ポロッと外れてしまうのです。
特に、金属の詰め物の下の虫歯はレントゲン写真に写りにくく、詰め物が取れて初めて虫歯の存在に気づくことも少なくありません。

②経年劣化による接着用セメントの寿命

歯科治療で使用される接着用のセメントは非常に優秀ですが、万能ではありません。
毎日温かいものや冷たいものを食べ、何キログラムもの強い力で咬み締めることのあるお口の中は、過酷な環境です。そのため、長年使用しているうちにセメントが劣化して、接着力が寿命を迎えることがあります。
特に、治療から5年以上が経過している詰め物が取れた場合は、セメントの劣化が原因である可能性が高いです。

③歯ぎしりや食いしばりによる過度な負荷

寝ている間の歯ぎしりや、日中の無意識な食いしばりは、歯に想像以上のダメージを与えます。
人間が歯を咬み締める力は、自分の体重以上(時には100kg以上)とも言われています。この強い力が毎日繰り返し加わることで、詰め物が変形したり、歯自体が微細に欠けたりして、適合が悪くなり外れてしまうのです。

虫歯の詰め物が取れたときにすぐやるべき正しい応急処置

詰め物が取れた時は、落ち着いて行動することが大切です。歯科医院を受診するまでの間に、まず実践すべき応急処置をお伝えします。
お口の健康を守り、その後の治療をスムーズにするために、以下のステップを実践してください。

①取れた詰め物をきれいに洗って保管する

外れてしまった詰め物は、捨てずに必ず保管しておきましょう。詰め物自体に変形がなく、土台となる歯にも虫歯などの問題がなければ、歯科医院でそのまま(付け直せる)場合があります。詰め物は水できれいに洗い、小さなプラスチック容器やケースに入れて保管してください。ティッシュに包むと間違えて捨ててしまうリスクがあるため、保管方法には注意が必要です。

②すぐに歯科医院へ連絡して予約を取る

お口の中の状況はどんどん悪化していきます。詰め物が取れた時は問題がなくても、時間が経つにつれてトラブルが発生することも少なくありません。「痛くないからまだ大丈夫」と後回しにせずに、詰め物が取れたらできるだけ早くかかりつけの歯科医院へ連絡しましょう。
電話の際は「いつ、どこの詰め物が取れたか」「痛みの有無」なども伝えると、治療がスムーズに進められます

③食事の際は取れた側と反対の歯で咬む

歯科医院を受診するまでの間、食事の際には詰め物が取れた部分を避けて、反対側で咬むように意識してください。
詰め物が取れた歯は、内側の象牙質(ぞうげしつ)という柔らかい組織が露出しています。そこに硬い食べ物が直接当たると、歯がパキッと割れてしまう恐れがあります。
また、食べかすが詰まりやすく、細菌が繁殖しやすい状態でもあるため注意が必要です。

絶対にやってはいけない!詰め物が取れたときのNG行動

良かれと思ってやった行動が、逆に歯の寿命を縮めてしまい、最悪の結果を招くことがあります。
「これだけは絶対に避けてほしい」という3つのNG行動を解説します。

①接着剤などを使って自分でくっつける

最も絶対にやってはいけないのが、市販の瞬間接着剤を使って自分で歯に付けようとすることです。
市販の接着剤は、人体に使用することを想定しておらず、化学物質による害や、最悪の場合は歯の神経を死滅させる危険性があります。
また、詰め物の下に細菌を閉じ込めて、中で虫歯を進行させてしまいます。
さらに、歯科医院で外そうとした際、歯を余計に削らなければならなくなるため、絶対にやめてください。

②取れた部分を指や爪楊枝で過度に触る

穴が空いた部分が気になっても、舌で触ったり爪楊枝でつついたりしないようにしましょう。
象牙質は、非常に傷つきやすくてデリケートです。爪楊枝などで無理に突くと、歯にひびが入ったり、歯の神経を刺激して激しい痛みを引き起こしたりする引き金になります。
汚れが気になるときは、ぬるま湯で優しくうがいをする程度に留めましょう。

③痛みが無いからとそのまま放置する

先述しましたが、「忙しいし、痛くないからまた今度でいいや」と放置することこそが、一番のリスクです。
痛みがなくても、歯の内部はむき出しの状態です。冷たいものや熱いものがしみやすいだけでなく、自覚症状がないまま内部で虫歯が急速に進行していくこともあります。気づいた時には手遅れになり、神経を抜く処置が必要になるケースも珍しくありません。

詰め物が取れた状態を放置するとどうなる?4つのリスク

お口のトラブルを放置することは、後々大きな代償となって自分に返ってきます。具体的な4つのリスクをお話ししていきます。

①虫歯が進行して神経まで達する

歯の表面を覆っている硬いエナメル質とは異なり、詰め物の下にある「象牙質」は酸に弱く、非常に虫歯が進みやすい組織です。放置するとあっという間に虫歯が広がり、歯の神経(歯髄)まで達します。そうすると、ズキズキとした激しい痛みに襲われ、神経を抜く根管治療(こんかんちりょう)を行わなければならなくなり、治療期間も大幅に長引きます。

②咬み合わせが変わって周りの歯が動く

歯は、上下左右で支え合うことで正しい位置をキープしています。
詰め物が取れて歯に穴が空いたままになると、その隙間を埋めようとして、隣の歯が倒れ込んできたり、咬み合う相手の歯が伸びてきたりします。
わずか数週間〜数ヶ月でも歯並びや咬み合わせが変化し、元の詰め物が戻せなくなるだけでなく、咬み合わせ全体のバランスが崩れることにもなりかねません。

③歯自体が割れて抜歯になる可能性がある

詰め物が外れた歯は非常に薄く、強度が著しく低下しています。
その状態で、食事などで強い圧力が加わると、歯が根元から真っ二つに割れてしまうことがあります。歯の根っこ(歯根)まで割れてしまった場合、現代の歯科医学でも歯を残すことが困難で、最終的に「抜歯(歯を抜くこと)」を選択せざるを得ないことが多いです。

④口臭の原因や周囲の歯肉の炎症を引き起こす

詰め物が取れた大きな穴には、どうしても食べかすが溜まりやすいです。
この食べかすは、通常の歯磨きでは完全に取り除くのが難しく、お口の中の細菌によって腐敗し、強い口臭を放つようになります。
また、溜まったプラーク(歯垢)のせいで、周囲の歯茎が真っ赤に腫れる歯周病の症状を併発することもあります。

歯科医院で行われる主な治療内容と費用の目安

詰め物が取れた時の治療は、お口の中の状態(虫歯の有無や進行度)によって方法が変わります。大きく分けて以下の2つのケースがあります。

詰め物をそのまま付け直せる場合

歯にも詰め物にも問題がない場合は、最も簡単な処置で済みます。
◎治療内容:歯の表面と詰め物の内側をきれいに洗浄・消毒し、新しい歯科用セメントで再度接着します。
◎通院回数:最短1回
◎費用の目安(保険適用3割負担):数百円〜1,000円程度
※ただし、検査やレントゲン撮影の費用が別途かかります。

新しく詰め物を作り直す場合

中で虫歯が進行していたり、詰め物が変形・紛失していたりする場合は、作り直しが必要です。
◎治療内容:虫歯になってしまった部分をきれいに削り取り、形を整えて型取りを行います。次回の受診時に、新しく出来上がった詰め物を装着します。
◎通院回数:2回〜3回程度(虫歯が深い場合はそれ以上)
◎費用の目安(保険適用3割負担):
・メタルインレー(銀歯):約2,000円〜4,000円(1歯あたり)
・レジン(プラスチックの白い詰め物):約1,000円〜2,000円(型取りせずその場で詰める場合)
※セラミックなどの自由診療(保険外)を選ぶ場合は、数万円〜の自己負担となります。

詰め物が取れたら触らず、すぐ歯科医院へ!

虫歯の詰め物が取れてしまったら、何よりも「迅速に歯科医院を受診すること」が重要です。
痛みがなくても、お口の中では深刻なダメージが進行しています。取れた詰め物を大切に保管し、触らず、いじらず、すぐにプロである歯科医師に診てもらいましょう。早期に受診すればするほど、治療は簡単になり、費用も期間も抑えることができます。
あなたの健康な歯を守るために、まずはお気軽にご相談ください。