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抜歯後にできる血餅の役割とは?抜歯後の生活上の注意点について

監修:歯科医師 金丸智士


矢印と「注意点」文字

歯を抜いた部分にぽっかり空いた穴を見て、「これってこのまま塞がるの?」と心配になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

特に、抜歯した穴に白や黒のゼリー状の塊が見えると、「大丈夫なの?」と不安が強まるかもしれません。

実はそれは「血餅(けっぺい)」と言い、傷口が治癒する上で欠かせない重要な役割を果たしているものです。

この記事では、血餅の正体や役割、そしてそれを守るための注意点を、わかりやすく解説します。

【目次】
1.血餅(けっぺい)とは?
2.血餅の3つの役割
3.血餅はいつできて、どのように治っていくのか?
4.血餅が取れてしまったら? ドライソケットとは
5.血餅を守るための4つのポイント
6.血餅が抜歯後の治りを左右する

血餅(けっぺい)とは?

血餅とは、抜歯した傷口から出た血液が固まってできる血液の塊のことです。
皮膚の傷を覆う「かさぶた」のようなもので、出血を止めるだけでなく、傷を外部から守る役割を担います。

見た目は、赤黒い色から白っぽいゼリー状の塊に変化していきます。
これは、血液中の血球成分と血漿成分の割合や、治癒の進行によって色が変わる、自然な経過です。

血餅の3つの役割

血餅は、抜歯後の穴がスムーズに回復していくために欠かせません。その主な役割は以下の3つです。

1.止血
出血を止め、血液が凝固することで骨や神経を守ります。

2.保護
傷口を覆って、細菌や異物の侵入を防ぐバリアのような働きをします。

3.治癒の促進
血餅の内部には細胞や血管が入り込み、やがて肉芽組織(にくげそしき)という新しい組織に置き換わります。
これは、新しい歯茎や骨を作るための大事なプロセスです。

血餅はいつできて、どのように治っていくのか?

血餅は、抜歯直後から形成が始まります。数時間以内に固まり始め、その後、1〜2日かけて安定していきます。
最初は赤黒い色をしていますが、3〜5日ほど経つと白っぽくなることもあります。これは異常ではなく、治癒が進んでいる証拠です。

抜歯後、血餅ができて治癒するまで順調に進んだ場合、おおむね以下のような経過をたどることが多いです。

○2〜3日後
血餅が安定し、内部で血管や細胞の活動が活発化する。

○約1間後
血餅が肉芽組織に置き換わり始める。

○3週間〜1ヶ月後
新しい骨の再生が始まり、徐々に歯茎に覆われていく。

○1〜1.5ヶ月後
見た目上、抜歯後の穴が歯茎で塞がれる。

○半年〜1年後
内部の骨や組織が完全に回復し、健康な状態に近づく。

ただし、これらの回復スピードには年齢、体調、抜歯部位(親知らず・前歯など)、喫煙の習慣や全身疾患の有無などによって個人差がありますのでご注意ください。

血餅が取れてしまったら? ドライソケットとは

もし、血餅が途中で剥がれてしまったり、うまく形成されなかったりすると、「ドライソケット」という強い痛みを伴う状態になることがあります。

○抜歯後、数日経ってからズキズキするような強い痛みが出る

○患部から悪臭がする

○痛みが長引いていたり、再び出血をしている

このような場合は、血餅が剥がれ、骨が露出して炎症が起きているおそれがあります。
自然治癒は難しいため、すぐに歯科医院を受診するようにしましょう。

血餅を守るための4つのポイント

血餅は非常にデリケートで、ちょっとしたことで取れやすいです。抜歯後は以下の点に注意してください。

1.患部に触れない
傷口が気になっても、舌や指、歯ブラシで血餅に触らないようにしましょう。

2.強いうがいはNG
特に抜歯当日は、うがいをしすぎないようにしてください。
血の味などが気になってどうしてもゆすぎたい場合は、ブクブクせずに優しく行いましょう。
強くゆすぐと血餅が流れてしまい、再出血することがあります。

3.食事はやわらかいものを反対側で噛む
抜歯直後は、おかゆやゼリー、ヨーグルトなど柔らかい食べ物を選び、抜歯した側では噛まないようにしましょう。

もし、食べかすが抜歯した箇所の周辺に詰まっても、無理に取り除かず軽くゆすぐ程度にしてください。
傷口は内側から盛り上がるように治っていきます。穴の中に詰まったままにはなりませんのでご安心ください。

4.飲酒・激しい運動・喫煙は控える
飲酒や運動、長風呂などによって過度に体が温まり血行が良くなると、再出血したり傷の治りが悪くなったりします。
また、逆に喫煙は血管を収縮させ、血行が悪くなることで治癒の妨げになります。
なるべく体を安静にして、可能な限り喫煙は控えましょう。

血餅が抜歯後の治りを左右する

抜歯後の「白っぽい塊」は、異常ではなく治癒に欠かせない血餅です。
この血餅がしっかり保たれることで、抜歯した穴は順調にふさがり、やがて歯茎と骨が再生していきます。

抜歯後に、患部が気になって触ってしまったり、うっかり強いうがいをしてしまったりすると、血餅が取れてしまうかもしれません。
血餅が取れるとドライソケットなどのトラブルを引き起こす可能性があります。

トラブルを防ぎ、スムーズに治癒を進めるためには、血餅を守る意識を持つことが何より大切です。
歯科医師の指示に従い、抜歯後の注意事項を守りましょう。

もし、抜歯後、数日経過しても強い痛みや出血、異臭などがある場合は、迷わず歯科医院に相談してください。

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