フッ素塗布の適切な頻度とは?期待できる効果と継続の重要性
監修:歯科医師 金丸智士
フッ素塗布は虫歯予防に効果的と知っていても「どのくらいの頻度でやればいいの?」「継続しないと効果がないの?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
実は、フッ素は一度だけではなく、適切なペースで継続して塗布することで歯を強くし、虫歯になりにくい口内環境を作ることができます。
この記事では、推奨されるフッ素塗布のペースとその根拠について解説していきます。
【目次】
1.フッ素塗布の理想的な頻度と継続期間
1-1 フッ素塗布は何歳から何歳まで必要?
2.なぜフッ素塗布を定期的に行うべきなのか?
2-1 1. 歯質の強化
2-2 2. 再石灰化の促進
2-3 3. 虫歯菌の活動抑制
3.自宅でのフッ素ケアだけでは不十分な理由とは?
3-1 自宅でのフッ素ケアの効果を最大限に引き出すポイント
4.3ヶ月に1回の定期検診と毎日のフッ素ケアで、理想の口腔環境へ
フッ素塗布の理想的な頻度と継続期間
フッ素塗布の理想的な頻度は、効果の継続期間に基づいて決定されています。
歯科医院で行うフッ素塗布の効果は、約3〜4ヶ月持続すると言われています。そのため、フッ素の効果が切れる期間が発生しないように、3ヶ月に1回のペースでフッ素塗布を行うことが理想的です。
虫歯のリスクが低い方は半年に1回でも十分ですが、リスクが高いと診断された方は、1〜2ヶ月ごとに行った方が良い場合もあります。最適な頻度はお口の中の状態によって異なりますので、歯科医師と相談して決めるようにしましょう。
フッ素塗布は何歳から何歳まで必要?
<子どもの場合>
乳歯が生え始める1歳頃から開始することをお勧めいたします。生えたばかりの乳歯は弱いため、フッ素塗布によって歯質を強化し、虫歯への抵抗力を高めることが大切です。
特に、永久歯が生え揃う15歳頃までは虫歯リスクが高いため、定期的な塗布が欠かせません。
<大人の場合>
加齢や歯周病で歯ぐきが下がると、歯の根元が露出しやすくなります。この部分はエナメル質に覆われておらず虫歯になりやすいです。また、知覚過敏の症状が出ることもあります。
そのため、フッ素塗布による歯の保護は、大人にとっても有効と言えます。
なぜフッ素塗布を定期的に行うべきなのか?
よく誤解されがちですが、フッ素塗布は「一度やれば大丈夫」なものではありません。先述したとおり、フッ素の効果は時間とともに薄れるため、定期的に行なって効果を維持する必要があります。
1. 歯質の強化
フッ素は歯のエナメル質を強化し、酸に強い構造に変えるため、虫歯菌が出す酸で歯が溶けにくくなります。
2.再石灰化の促進
食後に酸の影響で溶け出した歯のミネラルを戻す「再石灰化」によって、初期の虫歯なら削らずに回復できることもあります。
3. 虫歯菌の活動抑制
虫歯菌を弱らせて酸を作る力を抑制することで、虫歯の発症リスクを下げます。
特に、生えたばかりの永久歯は柔らかくて弱く、虫歯のリスクが高いです。その時期から定期的にフッ素塗布を行うことで、強い歯に育てることができます。
また、歯科医院でのフッ素塗布の際にはお口の中全体のチェックも行うので、虫歯以外のトラブルも早期発見でき、重症化の防止に繋がります。
つまり、定期的なフッ素塗布の習慣があるかどうかで、将来的な歯の健康が左右されると言っても過言ではありません。
自宅でのフッ素ケアだけでは不十分な理由とは?
「毎日フッ素入り歯磨き粉を使っているから大丈夫」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ご自宅での口腔ケアにフッ素を取り入れるだけでは不十分です。その理由は、フッ素の濃度にあります。
○歯科医院でのフッ素塗布:高濃度(約9000ppm)を使用し、高い虫歯予防効果があります。この濃度のフッ素は歯科医院専用であり、ご自宅では取り扱いできません。
○市販の歯磨き粉・ジェル:500〜1500ppmと低濃度です。毎日使うという点においては安全ですが、歯科医院で行うものに比べると効果は弱めです。
歯科医院での高濃度フッ素と、自宅での低濃度フッ素のダブルケアが、虫歯の予防に最も効果的です。
自宅でのフッ素ケアの効果を最大限に引き出すポイント
○必ず歯磨きの後に使用する
フッ素は歯の表面から浸透するため、歯垢があると歯に届かせることができません。丁寧に歯磨きした後に使用しましょう。
○うがいは軽くするだけ
せっかく塗布したフッ素が流れてしまわないように、ゆすぎ過ぎないようにしましょう。また、フッ素塗布の後は、30分~1時間ほどは飲食を控えるとより効果的です。
○就寝前の塗布がおすすめ
唾液の分泌量が減る就寝中はフッ素がお口の中に留まりやすいため、寝る前に行うことをお勧めいたします。
3ヶ月に1回の定期検診と毎日のフッ素ケアで、理想の口腔環境へ
フッ素塗布は3ヶ月に1回を目安に続けることで、最大限の効果を発揮します。
歯が生え始める1歳頃から開始して、15歳頃までは積極的に行うと良いです。そして、大人になっても、虫歯予防のために継続することをお勧めいたします。
虫歯で困らない強い歯を作るために、自宅のフッ素ケアと歯科医院での高濃度フッ素塗布を組み合わせ、定期的に歯科医院へ通う習慣を身につけましょう。
お子さんのフッ素塗布のことでお悩みの方は、お気軽に当院へご相談ください。