唇のそのトラブル、「口唇炎」かも?症状や原因、対処法について解説
監修:歯科医師 金丸智士

唇の乾燥や荒れを、「いつものこと」と放置していませんか?唇がピリピリしたり皮がむけたりする唇のトラブルは、実は「口唇炎」かもしれません。
今回は、口唇炎の症状や原因、似た症状との違い、日常でできる対処法まで、わかりやすくご紹介します。
【目次】
1.唇のトラブル「口唇炎」とは
1-1主な症状
1-2口内炎、口角炎、口唇ヘルペスとの違い
2.日常生活に潜んでいる口唇炎の原因
2-1乾燥
2-2アレルギー
2-3紫外線
2-4唇を舐める癖
2-5ストレス
3.口唇炎への対処法と日頃からできる予防方法
4.口唇炎が気になったら早めに専門医に相談を
唇のトラブル「口唇炎」とは
口唇炎(こうしんえん)」という言葉を耳にしたことはありますか?
口唇炎とは、唇が炎症を起こして、乾燥したり、荒れたりする状態のことをいいます。
口唇炎の主な症状や、よく似た口内炎・口角炎・口唇ヘルペスとの違いについて、わかりやすくお伝えします。
主な症状
口唇炎の主な症状には、次のようなものがあります。
○唇の炎症
○ひび割れ
○表面の皮がめくれる
○ヒリヒリするような痛み
○腫れや赤み
これらの症状は、季節の変わり目などの時季的な要因、乾燥、刺激物への接触や栄養不足などが原因で悪化することがあります。唇に違和感を覚えたら、早めのケアが大切です。
口内炎、口角炎、口唇ヘルペスとの違い
「口内炎」、「口角炎」、「口唇ヘルペス」どれも口の周りにできるトラブルですが、それぞれ原因や症状が異なります。
<口内炎>
口内炎は、口の中の粘膜にできる水ぶくれや潰瘍のことです。
原因には、噛んだり擦れたりしたことによる傷や刺激、栄養不足、ストレスなどが挙げられます。
<口角炎>
口角炎は、唇の端(口角)にできるひび割れや炎症のことです。
乾燥やカンジダ菌などの感染が原因で起こります。口を開けただけでも痛みを感じることがあります。
<口唇ヘルペス>
口唇ヘルペスは、唇や口の周りに水ぶくれができるウイルス感染症です。
原因は、単純ヘルペスウイルスによるもので、疲れや風邪、紫外線などが引き金となって繰り返し症状が出ることもあります。
日常生活に潜んでいる口唇炎の原因
口唇炎の原因は、私たちの普段の生活の中に潜んでいます。
乾燥
唇は乾燥しやすい部分です。冬場や乾燥した室内などは、エアコンの影響によってさらに乾きやすくなります。
アレルギー
洗顔料や化粧品、リップクリームなどに含まれる成分が、アレルギー反応を引き起こすことがあります。
また、柑橘類やナッツ類、パイナップルなどの食品や、金属によっても症状が出る方も中にはいらっしゃいます。
紫外線
紫外線を浴びると、唇の皮膚が刺激を受けて炎症や荒れを引き起こすことがあります。
特に日差しの強い季節や野外での活動が多い場合は、唇のUVケアを意識することが大切です。
唇を舐める癖
唇を頻繁に舐めると、唾液に含まれる酵素が唇に刺激を与えてしまいます。
唾液が蒸発する際に唇の水分も一緒に奪われるため、さらに乾燥が進み、症状の悪化に繋がります。
ストレス
ストレスによって免疫力が低下すると、ヘルペスウイルスやカンジダ菌が増殖しやすくなることがあります。また、自律神経のバランスが乱れることで血行が悪くなり、唇が乾燥しやすくなることもあります。
口唇炎への対処法と日頃からできる予防方法
口唇炎を防いだり、症状をやわらげたりするためには、唇を清潔に保ち、しっかりとケアすることが大切です。特に、乾燥は症状が悪化するの原因となるため、日常的な保湿や刺激の少ない生活を心がけましょう。
○保湿
唇の乾燥を防ぐためには、ワセリンやリップクリームなどの保湿剤をこまめに塗ることが重要です。乾燥を感じる前から予防的に使うのがおすすめです。
○紫外線対策
紫外線は唇の乾燥や炎症を引き起こす原因になります。外出時には、UVカット効果のあるリップクリームや日焼け止めを使用し、唇を紫外線から守りましょう。
○刺激物を避ける
唇が荒れているときは、辛い食べ物や熱い飲み物、香辛料などの刺激物は控えるようにしましょう。刺激によって炎症が悪化するおそれがあります。
○食事
日々の食事も口唇炎の予防につながります。栄養バランスのとれた食事を心がけることで、免疫力を高め、口唇炎が起こりしにくい体づくりができます。
なかでも意識したいのが、ビタミンB群の摂取です。ビタミンB2やB6は皮膚や粘膜の健康維持に関わっており、唇の炎症予防にも効果的です。
ビタミンB2:レバー、さば、うなぎ、納豆、卵 、チーズなど
ビタミンB6:赤身の魚、鶏肉、豚肉など
口唇炎が気になったら早めに専門医に相談を
唇の荒れや痛みが続くと、「そのうち治るだろう」と自己判断してしまいがちですが、原因によってはアレルギーやウイルス感染などが原因だったり、放っておくと悪化したりする可能性があります。
適切な診断と治療を受けることで、症状の緩和や早期の回復が可能です。
リップクリームなどで保湿しても改善しない場合は、早めに皮膚科や口腔外科などの専門医に相談するようにしましょう。