神経を抜いた歯が変色するのはなぜ?原因と対処法を詳しく解説
監修:歯科医師 金丸智士

「神経を抜いた歯の色が暗くなってきて、人前で笑うのが恥ずかしい…」そんなお悩みを抱えていませんか?
神経を除去した歯は、時間の経過とともに変色してくることがあります。
この記事では、神経を抜いた歯がなぜ変色するのか、その原因と具体的な改善方法をわかりやすく解説します。
【目次】
1.神経を抜いた歯が変色する仕組み
2.神経を抜いた歯を白くする主な治療法
2-1ウォーキングブリーチ法(歯の内部漂白)
2-2補綴治療(セラミッククラウンやラミネートベニア)
3.神経を抜いていないのに歯が変色することも
4.まとめ:自分に合った治療で自然な白さを取り戻そう
神経を抜いた歯が変色する仕組み
歯の内部には神経と血管が通っており、血液が歯に栄養を届け、老廃物を代謝する役割を担っています。
しかし、虫歯や外傷などの影響で根管治療(神経を抜く処置)を行うと、血流がなくなり、歯の内部で代謝が行われなくなります。
その結果、歯の中に残った血液成分や組織が時間とともに変性し、象牙質へ沈着していくことで、歯が徐々に黄色〜褐色、さらには灰色〜黒っぽく変色していきます。
この変色は、エナメル質の奥から起こるため、通常のクリーニングや表面的なホワイトニングでは改善することができません。
また、変色は治療後数年以内に進行することが多く、放置するとさらに色が濃くなる傾向があります。
神経を抜いた歯を白くする主な治療法
神経を抜いた歯の変色を改善するためには、主に以下の2つの方法があります。
1. ウォーキングブリーチ法(歯の内部漂白)
ウォーキングブリーチとは、神経を除去した歯の内部に薬剤を入れて、内側から歯を白くする治療方法です。
歯の裏側に小さな穴を開けて漂白剤を注入し、仮の蓋をして一定期間置くことで徐々に白さを取り戻していきます。
<メリット>
○歯を削らずに自然な色調の改善が期待できる
○治療費が比較的抑えられる
○自分の歯を残せるため、違和感が少ない
○一本だけの治療も可能
<デメリット>
○元の色調や詰め物の状態によって効果に個人差がある
○色戻りの可能性があり、定期的な再処置が必要なことがある
○対応できる歯科医院が限られている
○ごく稀に薬剤の影響で歯茎が白くなるなどの副作用がある
まずは歯を削らないこの治療から検討できると良いです。
白さや仕上がりにこだわりがある場合は、次に紹介する補綴治療を検討するケースもあります。
2. 補綴治療(セラミッククラウンやラミネートベニア)
変色が強い、歯の形も整えたい、あるいはウォーキングブリーチで効果が見られない場合には、補綴治療が有効です。
◎セラミッククラウン
<特徴>
○歯全体を削り、セラミック製の人工歯を被せる治療
○色の再現性が高く、自然な白さと美しさを実現できる
○変色の心配がほとんどなく、長期間美しさを保つことができる
○歯の形や大きさも調整できる
<注意点>
○歯を大きく削る必要がある
○保険適用外のため費用が高額
○強い衝撃で破損するリスクがある(ジルコニアなどは比較的強度が高い)
◎ラミネートベニア
<特徴>
○歯の表面をわずかに削り、薄いセラミック板を貼り付ける方法
○歯を削る量が少なく、審美的に優れた仕上がり
○軽度の変色や形状補正に適している
<注意点>
○歯ぎしりや食いしばりが強い方には不向き
補綴治療は、費用面や歯を大きく削る必要がある、といったデメリットはありますが、確実な白さや審美性を求める方には非常に有効な選択肢です。
また、神経が壊死した歯は、先述したように歯に栄養が行き届かなくなり、神経のある歯に比べると弱く脆く、欠けたり割れたりしやすくなります。
強度の面を考慮するなら、補綴治療で補強した方が、長い目で見るとご自身の歯を守ることに繋がる場合もあります。
どちらの方法が適しているかはお口の中の状態によって変わりますので、治療前に歯科医師としっかり相談するようにしてください。
神経を抜いていないのに歯が変色することも
歯の神経を抜いていないのに変色するケースもあります。
たとえば、外傷による強い衝撃や、矯正治療による過度な力の負荷で神経が壊死してしまうことが原因です。
その時は問題なくても、時間が経って変色しだしてから気づくこともあるため、見た目に変化があるようなら早めに歯科医院を受診しましょう。
まとめ:自分に合った治療で自然な白さを取り戻そう
神経を抜いた歯の変色は、歯の内部で起こるため、外側からのアプローチだけでは改善が難しい場合があります。
歯を削らずに済むウォーキングブリーチ、確実な白さと美しさを求めるならセラミック治療と、目的や状況に応じた治療方法を選択することが望ましいです。
治療方法によって、メリット・デメリットは異なります。見た目だけでなく、歯の健康や将来のメンテナンスなども考慮し、歯科医師と相談しながら適切な方法を選びましょう。
美しい白い歯を取り戻すことで、自信ある笑顔を手に入れることができます。気になる歯の色は、あきらめずにまずは一度、歯科医院にご相談ください。